第68話

まだまだぺしゃんこのお腹を、ルイの小さい手が撫でる。



「⋯ままの、おなか」


「もう少ししたらね、もーっと大きくなるよ」


「おなか⋯いるの?」


「そうだよ」


「―――だめ」




ルイの手が、その瞬間、私のお腹から離れた。




そして、私のお腹に向かって、すごく、怒っている表情をしたルイ⋯。


その表情を何度も見たことがある私は、え⋯⋯?と、心の中で呟いた。



そしてルイは続ける。



「ままのおなかは、ぼくのだよ」



「だめだよ、まま」



「なかに、いるの、とって」



「はやく!とって!」




まって。ルイ。


嘘でしょ?




だって、ルイは⋯。

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