第61話

行為の最中、私は言われた通り口を塞がず「あっ⋯あっ⋯」と甘い声を出していた。

海吏の名前を何回も呼んだ。


私がイキそうになり、大きな甘い声が出そうになれば、海吏は私の唇を覆う。



それは、ルイに聞こえないようにしているのか。海吏の行動の真意は分からない。




「ほ、んま⋯出してい?」


「ん、いいっ⋯⋯」


「ええ、んやな?」



いいって言ってるのに。

海吏は何度も確認してくる。



「う、ん、かいっ⋯、かい、り!」



だから、私は名前を呼んだ。

初めて私を抱いた時のように。



「っ⋯―――」




脈打ちの感覚が中に伝わった時、私の熱い息が零れた。

その唇を塞ぐ海吏は、中に入れたまま何度も何度も舌を重ね合わせてきた。



その日から、海吏は口を塞ぐのは許してくれたものの、避妊はしなくなった。




キッズケータイを処分し、私たちはとあるマンションへと住むことになった。


オートロック、防音設備がある部屋に。

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