第52話

体を抱きしめるように、私を動かさないように胸をしっかりと掴む。


海吏の重みで上手く抵抗できない私の耳に舌を音を出しながら口に含んだ海吏は、そのまま耳の中に舌を入れてくる。



ビクッと、その刺激に肩が震えた。




「俺の事、兄ちゃんって思ってくれても」



散々舐めまわした後、海吏はふざけたことを言ってくる。



「な、にいってるの⋯」


「陽向」


「っ⋯⋯」


「呼んでいいで、クズの名前」


「や、めてよ、こんなのっ、おかしいよ!」




私は少し大きな声をあげた。


だって、だって。




海吏に抱かれながら、魁輝の名前を呼べって言ってるの?


代わりにしろって言ってるの?

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