第43話

私は苦笑いした。



「なんやねんこいつって思ったんは、めっちゃ嬉しそうに服選んでた時やな」


「え?」




海吏が思い出しながら、言う。


服?

服を選んでいた?


それって、海吏と一緒に、海吏のスマホでルイの服を見ていた時?




「ずっとクズばっか考えてるのも、一途すぎて気持ち悪いし」


「気持ち悪いって⋯」


「監禁されてる側やのに、いつもいつも、お礼とか、謝ってくるひなに、ムカついてしゃあなかった」


「⋯⋯」


「ほんま、ずっとムカついてた」


「⋯⋯」


「⋯⋯⋯ルイのこと、殺したろ思ってた」


「⋯⋯」


「けど、お前が泣くと思ったら、できんかった」


「⋯⋯」


「⋯ムカついて、クズじゃなくて俺に目ぇ向けたくて中出してもうたし」



初めて海吏と、体を重ねた日。



「⋯あれは、さすがに私もムカついたよ」


「あれ、ひなが俺の名前呼んだからや」


「⋯え?」


「やばいやろ?俺、お前が俺の名前呼んでくれたって思って。めっちゃ嬉しくて、やばって思ったら中出ててん、出すつもりなかったのに」


「⋯⋯」


「それぐらい、好きやねん」


「⋯⋯」


「頭おかしいやろ? 俺」


「おかしいね」


「まあ、ひなの方がおかしいけどな。あんなクズまだ忘れられへんとか。俺の方が絶対いい男やし」


「ひどい、いつも海吏は意地悪だよ」


「ひな」


「⋯⋯うん」

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