ディスモーフォフィリア a

第39話

―――それは半年前、のこと。




海吏は「たまには」と私達を連れて少し遠くへ出かけた。

いつもいつも家の中にいるルイとヒカルは、遠くへ行くという事が嬉しかったようだった。



ついた場所は海。



砂浜できゃっきゃっと遊ぶ2人を見つめながら、嫌でも視界に入ってくる海の景色に、広いなあ⋯と、思っていた。




この世界はこんなにも広い。

こんなにも広いのに、私たちは逃げている。




「ひな」


「ん、なに?」



海の潮風で、髪がなびく。


それをおさえながら海吏の方を見た。




もう海吏が呼ぶ「ひな」に慣れてしまった私は、海吏の方に微笑む。



海吏とは、ルイの歳よりも、長い時間一緒にいるのだから。

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