第37話

深く、落ち着くような息を吐き出した世那⋯。





「まあ、⋯何年も、たってるしね⋯」



何年⋯。



「そうかも、とは、⋯少し思ってた」



ポロポロと涙が出ていく。




「分かった、もう、来ないよ」



そう呟く世那の声は、酷く優しかった。

初めて私を無理矢理抱いた時とは、大違いで。



「ごめんなさ⋯」


「いや、俺がもっと早く気づけば⋯東だって分かっていれば⋯」


「世那さん⋯⋯」


「魁輝の弟は、本当にいいやつなの?」




海吏は、すごく、優しい。


魁輝と同じぐらい優しい⋯。

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