第36話
「さ、⋯ささ、やま⋯じゃ、ないの」
涙を流しながら、世那に伝える。
世那は頭がいいから。
「⋯もう、笹山じゃない」
「それって⋯」
「そうだよ、魁(るい)と輝(ひかる)は魁輝の名前から取ったんだよ。でも、それを分かって海吏は2人をすごく大事にしてくれるの。私の、事も⋯。私の気持ちが向かないことを分かってて」
「⋯ひなた」
「もう、戻れない」
「⋯⋯」
「魁輝に合わせる顔がない⋯⋯⋯⋯」
「⋯⋯」
「ごめんね⋯」
せっかく、ここまで来てくれたのに。
―――⋯私はもう、神城陽向だから。
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