第86話

入院生活は、家とそれほど変わらなかった。

定期的に点滴などをしてくれた。


ずっとベットで眠っている私につきっきりの魁輝。


海吏の件もあり、しばらくの間、仕事の休みを貰った魁輝。




「ごめんね、毎日⋯」


「謝る意味分からん」


「⋯⋯」


「陽向?」


「⋯なに⋯?」


「俺、陽向のこと、大好きや⋯」


「知ってるよ」



イスに座る魁輝は、横向きに寝転ぶ私の頬を撫でる。




「ずっとそばにおってな」


「うん」


「結婚しよな」



いきなり魁輝がそんな事を言ってくるから。正直、籍をいれるなんて、つわりのせいですっかり頭から離れていて。



「うん」



私が微笑むと、魁輝は私の額にキスを落とした。

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