第2話

たまに魁輝は左手を見つめることがある。日に何度か震える魁輝の左手。

指先だけの時もあれば、肘辺りまで震える時がある。



夜の10時、もうベットの中にいる魁輝は、上向きに寝転びながら左手を見つめていた。



そんな魁輝の上にのしかかる私は、「手、痛いの?」と問いかけ。のしかかった私の背中に、当たり前のように魁輝は右手をまわす。




「いや」


「何かあった?」


「俺、お前の左手首、折ったやん?」


「うん」



約、1年前、魁輝は私の左手首を折った。


あの建物で、私が魁輝の言うことを聞かなかったから。


ほんとイカれてる理由。




「バチ当たったんやなって、同じ左やし」


「⋯魁輝」


「ってか、重いんやけど」


「いいでしょ」



魁輝にのしかかった私は、ほぼ全体重を魁輝に預けていて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る