第78話

生理が終わったその週から、また流雨とのホテル通いが始まった。

もちろん車の中では柚李が待っている…。私を護っているから家へ帰れない柚李…。


少しずつストレスが溜まっていくのが分かった。


学校の中でも見張られ、女の子達が話しかけられるのも無くなったのはいいけど。



やっぱり気になるのは柚李で…。



流雨に抱かれるのが嫌だった。ホテル通いしている間、流雨とやってる…と思われたくなかった。


それでも流雨の与えてくる快感が、それを忘れさせるのも確かだった。〝気持ちいい〟という思いが、柚李を忘れさせる。



それがすごくすごく、嫌で…。



「…っ、る、まって……」



律動する流雨の肩にふれる。「もう一回イける?」と私の腰を掴む男。



──…気持ちいい…。




嫌なのに、嫌なのに。

こうも体を重ねてしまうと、体が言うことを聞かなくなってしまう。考える事とは裏腹に、流雨を求める…。



そんな自分がすごく恐ろしかった。



柚李が好きなはずなのに。



わざとゆっくりとした律動をする流雨に、自然と腰がゆれた。

私の中が、そこじゃない…と言っているせい。



「るう…」


「ん?」



足を肩に抱えた流雨は、そこにキスをする。



…──もっと気持ちよくなりたい。

そんなこと思っちゃ、いけないのに。

狂うほどおかしくなりたい。



……もっと、して…

そう呟いたら、流雨はくす、と、笑い。



「もう月の中、俺の形覚えちゃったね」


「う、…あ…っ…」


「知ってる?他の奴が抱いたら違和感しかないんだって、形が違う、って思っちゃうみたい」


「…っ〜…」


「まあ誰にも抱かせる気はないけどね」




激しく動き出した快感に、体が喜ぶ。



だめ、だ、


このままじゃ。



私が私じゃなくなってしまう。




私は流雨が嫌いなはずなのに──…

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