昔から思い続けていたもの

第43話

――side怜央—―




バチンッ!


「…ッ!」



「お前と言うやつは!一家の長男として恥ずかしくないのか!」



「ちょっ、父さん!やりすぎよ!」



「お前は黙っとれ‼」



ドンッ



「きゃっ!」



俺の父はいつも厳しかった。

誰よりも優れていなければならなかった。一家の長男としてあるべき姿で居続けなければならなかった。


俺が少しでも成績を落とせば、父は俺に怒鳴り殴った。止めようとするならば、母さえも殴った。


だが、弟に対しては違った。まるで俺の時とは別人のように笑顔だった。

俺には一度も向けたことのない笑顔が、弟だけに向いていた。

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