実際、この町には暴走族のグループが２つ存在する。

1つは、俺が総長としてまとめる〖闇來（あんらい）〗だ。

もう1つは、闇來の敵対グループ〖黒狼（こくろう）〗。

闇來も黒狼も正統派グループではあるが、街をどちらが治めるかが問題で決して仲がいいわけではない。もちろん、街のために協力なんて絶対にありえない。

黒狼の総長は、柊怜央（ひいらぎれお）と言うらしい。冷酷非道で悪い噂が後を絶たない。そんなやつがまとめるグループなんて本当に正統派なのかさえ怪しく感じる。

まぁ、俺がそんなこと言える立場ではない。

――俺……じゃなくて、あたしが総長だからね。

そう、あたしは男の総長ではなく女総長だからだ。このことは誰にも話したことはない。もしろん幹部にもだ。

あたしは、そこまで人に気を許せるタイプじゃないからね。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい