第54話

「自分でも驚いてる。まさか胡桃を女としてこんなことをする日が来るなんて……」



優しい手つきで髪を梳いていく。



賢人は髪にキスをした。



「賢人………」



優しく押し倒されくちびるに蓋された。


2度目のキス。


賢人のキスはあまりにも優しくてくちびるは柔らかった。



「くちびる。柔らかい」



そしてまたキスをした。


世間一般のカップルはこんな感じで愛し合うのかな。


私と賢人の間には愛は存在しないけど。


私にとって未知な世界だったから何をするのかイマイチわからない。



「胡桃、息してる?」


「してるよ!」



クスクスと笑う賢人。

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