第52話

私が賢人から聞かされたのはとても残酷な言葉で。


私が望んでいた言葉ではなくて。


ほんの少しだけ期待したの。


賢人が抱き締めてくれたからもしかしたら………って。


だけど違かった。


賢人はまだ美耶が大好きで、私に弱音を吐いただけ。


悲しいな。



「だからさ、胡桃。頼っていいかな?」


「え」



身体の体勢を変えられ、仰向けになった。



「賢人…………」


「おま………なんで泣いてるの?」



片目なら流れる賢人の涙が頬に落ちた。


賢人に泣いていたことを気づかれてしまった。



「ちが……わかんなっ」



両腕を掴まれた。



賢人…………。

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