第2章

第5話

時は、2024年。


『エトワール様…愛しています…』


私はふと、目を覚ました。


「また、あの夢…」


日に日に鮮明になっていく、遠い昔の様な夢…。


私、天河あまかわ 星羅せいらです。


幼少期の頃から、よく騎士様の夢を見る15歳。


『私は、お姫様だったのかな…?まさか…ね』


「星羅〜!!」


一人の少女が窓の外から声を掛けてきた。


友人の莉奈だった。



「莉奈、ごめん!また、寝坊しちゃった」


「また!?どうせまた、例の騎士様の夢でも見たんでしょ?」


「うん」


「私がエトワール姫って、呼ばれてて…彼の名前は…リブラン…」


夢の中で私を呼ぶ優しい声…。



…でも、顔が思い出せないの…。




「星羅、相変わらずユメってるねぇ〜!夢も良いけど、現実にも素敵な男子は居るよ!」


「ほら!噂をすれば、二年の百合沢ゆりさわ先輩とか!!」


百合沢ゆりさわ 流星りゅうせい 16歳。


ふんわり優しい雰囲気を持った一つ年上の先輩。


「キャ〜ッ!!百合沢先輩〜!!」


そして、凄まじい程の女子からの黄色い声援…。


「相変わらず、凄い人気…私には縁なんて…」


そう思っていたら…彼の栗色の瞳と目があった…気がした。


その瞬間…。


『彼と初めて会った気がしない…』


私は、大切な「何か」を忘れている…私の心がそう告げた…。


「百合沢先輩、今、星羅の事見てなかった?」


「私も一瞬、そう思ったけど…気のせいでしょ?他にも女の子、沢山居たし!」



『…あの眼差し…エトワール様だった…』


きっと、姫様はお忘れでしょう…。


「…いつになったら、私を思い出してくれますか…?」

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