第67話
「いや〜今年も大勢が祝ってくれたね」
社長室に運ばれた大きなプラスチックケースを見ながら満面の笑みを浮かべるキング。
ちなみに上までみっしり詰まったケースが3ケースだ。
「本当凄いですね」
これはお世辞じゃない。
感心したようにプレゼントを見て、それから再び手元のノートに視線を落とす。
プレゼント攻撃が終わって社長室にそれを持ち込んだ私達は、それの集計と整理の真っ最中。
誰が何をと、書き込みながらきちんと明細を整える。
キングが中身を開けて、それを記載して。
皆、色々思いながらプレゼントを選んだろうな。
どうせなら、やっぱり喜んで貰いたいもんね。
「俺って人気者だよね」
「はい、そうですね」
「え~なんだか、おざなりな言い方じゃないかな」
上半身を突き出すように、私の方へと身を乗り出すキング。
「近いです」
なんか、ちょっと最近その態度が癪に触るんですよね。
言わないけど。
「市原さんに構ってないで、さっさと開けていってください。この後、仕事が詰まってるんですよ」
三村さんは冷たい視線を向け抑揚のない声で言う。
「へいへい、開けますよ」
唇を尖らせ不貞腐れたように言うと、プレゼントを開けるのを再開したキング。
「それにしても、色んな物ありますね」
「ええ。毎年皆さんよく考えてます」
「プレゼントのお返しとかって一人一人違うんですか?」
「流石にそこまで時間をかけていられませんので、男女別に同じ物を用意して配ります」
「まあ、そうですよね」
この量を一人一人考えてたら、普段の仕事が出来そうに無いもんね。
拗ねてるキングを他所に三村さんとそんな会話をしてると、あ! と突然キングが声を上げた。
「えっ?」
「どうしたんですか?」
三村さんと同時に声を上げてキングを見る。
「瞳依ちゃんから、プレゼント貰ってない」
物欲しそうな視線を向けられたので、やれやれと首を左右に振った。
こんなに貰ってるのにまだいるんですか。
まぁ、用意はしてあるのでいいんですけどね。
私はおもむろに立ち上がってソファーに置いてあった紙袋を手に戻ってくる。
「気持ちだけですけど」
「ありがとう。今年、一番嬉しいプレゼントだよ」
そんなこと言ったら、他の人が気の毒じゃないか。
だいたい、まだ中身も見ていないよね。
本当、調子良すぎ。
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