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蒼の女帝
第2話
ー第三者目線ー
「ねぇねぇ、聞いた?」
「えっ? なにを?」
「この時間帯にこの付近に現れるんだってぇ」
「だから、誰が?」
「んもう! 女帝と4神よ」
「キャーマジで?」
目の前ではしゃぐ友人2人をぼんやりと見つめる。
深夜の繁華街のファストフードで、私達は軽い軽食を取りながら時間潰しをしていた。
金曜の夜にこんな場所に居るのは、ある目的の為。
大した目的じゃない。
私達は二十歳の大学生で、ナンパ目的で出会いを求めてやって来ただけなんだから。
もちろん、私は進んで参加した訳じゃない。
この目の前の2人に引っ張って来られた。
田舎育ちで、あまり社交的じゃない私を心配して連れてきてくれたのは良いが、正直ありがた迷惑である。
この周辺は西エリアと呼ばれていて、夜でも賑わっていて若者達が集まっている。
私達の住む大きなこの街には、西エリア、東エリア、南エリア、北エリアと呼ばれる場所が存在し、それぞれが独特の繁栄をし、文化を持つ。
そして、各エリアにはグループが存在し、その頂点に立つ者達が居る。
西エリアには蒼の女帝、東エリアには黒王(コクオウ)、南エリアには白神(ハクシン)、北エリアには朱の将軍。
私達が今居るのは、蒼の女帝の支配地。
女の子達にとって一番安全なエリアだと噂されている。
だからこそ、こんな夜遅い時間帯に女3人で出歩けるのだ。
もちろん、本当に危険な事は無いのか? と言われれば否だ。
どんな場所にでも危険は潜んでいるものだから。
夜遊びをするのならば、それを覚悟しておかなければいけないと思う。
「4神様に会いたいね」
「うんうわ、イケメン見た~い」
友達2人はキャッキャと騒いでる。
4騎士よりも、私は彼女に会ってみたいな。
頬杖をついて、盛り上がってる目の前の友人を見ながらそんな事を思っていた。
蒼い瞳の黒髪の女帝。
周囲を無条件で平伏せさせると言う彼女の方に興味がある。
極上のイケメンだと言われる4神よりもね。
ドリンクに刺さったストローに口をつけて軽く吸った。
喉ごし爽やかなレモン味のそれが喉を通っていく。
「4神様の目に止まったらどうする?」
「私、一夜限りでもいい」
「「きゃー」」
ミーハーな友達2人は手を取り合って妄想中だ。
くだらない・・・底辺に居る私達が彼らの目に止まるはずなんて無いのにね。
呆れ顔で2人を見たあと、何となく窓の外へと目を向けた。
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