第603話

「遊んだって、俺がいつお前で遊んだよ?」


「まだ⋯そんなこと、⋯もう分かってるよ⋯」


「何が?ちゃんと言え、言ってくんねぇと分かんねぇ」



言ってくれないと。

言わなくても、分かってる、くせに⋯。



「あたしのこと⋯本当は、好きじゃないでしょ⋯?」


「好きだよ、なあ何回も言ってるだろ?⋯想世、不安になったのか?明日そばにいれないって言ったから」



二の腕を掴む桃李の手が、離れてくれない。



「何が不安か言わねぇと絶対離さねぇからな」



力強い桃李に、適うわけがないのに。



「俺、お前の何で遊んだ?昔のこと言ってんのかよ?」



違う、違う。

そう思って、恐る恐る首をふった⋯。



「騙してたって、どういう意味?」



どういう意味って⋯。

どうして本人が、分からないの。



「嫌いとか言うなよ⋯」



きらい、とうり、なんか。



「やっとお前を手に入れたのに⋯、手放すとか、絶対無理だぞ。お前、俺の頭おかしくさせる気かよ」


「⋯っ、」


「ずっとそばにいろって言っただろ!!」



そのそばにいないのは、桃李だよ。

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