第20話

同じクラスの穂高は、すぐに見つけることが出来る。穂高も倭と同様、頬が変色していた。いつもは爽やかなのに、今日はすごく不機嫌に見え。



「…大丈夫?」



登校してすぐ、イスに座っている穂高に話しかけた。私の方に顔を向けた穂高は、「お前と喋るとまた殴られちゃうんだけど?」と、私から顔を逸らす。



私と喋ると…。



「倭のやつ、勘違いもいい加減にしろって感じな、俺なんで殴られたわけ?」


「ごめん…」


「もうお前、俺に話しかけんな」



穂高はそれから、もう私の方を見ることはなく。完璧に線をひいた穂高も、あまり私が教室にいる授業には出なくなった。

元々、サボる時はサボる不良のような穂高…。






「晃貴さ、安藤とやりあった時ちょうど家でも色々あって。めちゃくちゃ不機嫌だったんだよ。あいつ、いつもは面倒くさがって…争いとか適当に受け流すんだけど…。ほんと、タイミングが悪かったというか…」



とある日、見た目がすごく怖い穂高の友達の徹がそう教えてくれた。

穂高の家が複雑なのは、私も知っていた。



「そうなんだ…」


「あのさ、聞いていい?」


「うん」


「原田って、結局どっちが好きなんだよ」




どっちが?

穂高か?

倭か?



そんなの。




「……倭だよ」



私の言葉に、徹は眉を潜めた。



「じゃあ、安藤に好きっていえば?それで解決になるなら」



解決するなら…。



「…解決するのかな?」


「え?」


「だって今、倭たちすごく仲悪いし。私が倭に好きって言ってもその悪さは治るのかなって…」


「あー…」


「っていうか、今はグループで仲悪いでしょう?」


「…まあ、確かに。今回の殴り合いで…つか、晃貴も晃貴なんだよ…。女で遊ぶとはどうだって俺らの中でもなってるし…」


「…」


「あと、佐由子?だっけ?そいつのこと、安藤の友達が好きだったみたいだよ」


「え?」


「だから今、安藤と晃貴だけじゃなくて。そいつと晃貴も今やべーみたい」




複雑な関係に、私は何も言えなく。



「今ごちゃごちゃしてるし、ちょっと落ち着いてから、安藤に原田の気持ち言った方がいいかもな…」



徹の言葉に、私は頷いた。

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