第18話

ベットで寝転がる倭は、私が来たことに驚いたようで目を少し見開いたけど。すぐにそれはそらされ、「…なんだよ…」と低い声を出した。

倭の頬は、殴りたせいで赤くなっていた。



「なんだよって、分かるでしょ」


「帰れよ」


「理由、聞くまで帰らないから」



鋭い目が向けられる。

ベットで眠っていた倭は体を起こすと、床に足をつけた。また煙草を吸うとしてるのか、机の上に置いている煙草に手を伸ばしていた。



「やまと…」


「穂高んとこ行けよ」



穂高…。

もう、晃貴と呼んでない。



「なんで喧嘩したの」


「あいつが女と遊びまくってるからだろ」



遊びまくってるって…。



「それでなんで、倭が怒るの?確かに悪いことだけど、倭が殴らなくても…」



かち、とライターで火を灯す。

もうすっかり慣れた感じで息を出す倭は、肩幅も広くなったように見えた。



「なに、あいつの味方?」


「そうじゃなくて…」


「お前、あいつのこと好きなんだろ。それなのにいいのかよ」


「私は別に好きなんか…」


「お前の気持ち無視して遊んでるからムカついたんだよ」




私の気持ち無視して?


ムカついた。


私が、穂高のことを好きと思っている倭…。



じゃあ、殴った理由は…。



「私のため…?」


「帰れ」


「倭…」


「理由言っただろ、帰れよ」


「違うよ、倭…、」



相当イラついているのか。

まだまだ長い煙草を、灰皿で消した。


そんな倭に近づき、ベットに座っている倭を見下ろす。



「聞いてよ、」


「何を」


「私…」


「つか、男の部屋に入ってくんなよ」


「男って、倭じゃん。いつも入ってたよ」


「もうそんな仲じゃないだろ」


「仲だよ…、大事な幼なじみだよ、倭は…」



倭が私を見上げてくる。

倭が、私の手を掴む。

倭が…、私の手を引く。



「幼なじみでも、やれる時はやれる」



やれる時は…。

やれる時…?


その言葉が性的な行為だと気づいた時、私は倭の体を押していた。それでも私よりも力が強い倭が、私をベットの中に引きずり込んだ。


視界が逆転する。


今度は倭が、薄暗い部屋の中、ベットで上向きの私を見下ろしている。



「ちょっ…」



この状況に怖くなり、倭の肩を押した。



すぐに遠のいた倭は、「もう来んな」と、私から顔逸らし、「帰れ」と低い声で言う。



倭の男の部分を見たからか。

私は倭の部屋から出ていた。








若葉から、ラインが届いていた。


『安藤さ、穂高と喧嘩してる時、奏乃で遊べば絶対許さないからって、怒ってたらしいよ?』と。

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