幼仲
第1話
親にスマホを買って貰った。
それは中学1年生の春休みのときだった。
買ってもらったばかりのスマホを持って、私の部屋ではなく、とある部屋に向かう。勝手に家に入ることも許され、ある部屋にノックも無しに開ける事ができる私は、その扉を堂々と開けた。
そこには小学生の時から煙草を吸っている男がいて。同い年の男は私の方に目を向けると、「ノックぐらいしろよ」と白い煙とともにため息を出した。
それをスルーする私は、「見て見て
ふうん?とどうでも良さそうにする倭は、「おそ」と煙草の火を消した。
「ライン教えて」
「勝手に見ろよ」
「ねえ、私のスマホにラインないよ?ラインってどこ?」
「インストールが先だろ」
「インストールって何?」
親のスマホを触ったことがあるものの、新品のスマホの使い方が分からない私は、「貸してみろ」と面倒くさそうにする倭と一緒にラインのアプリをとった。
アドレス帳と、ラインというアプリに1番初めに名前が載ったのは倭の名前だった。
それにニンマリとする私は、カメラを起動し。
倭に向かってパシャリと写真を撮った。
それに気づいた倭が「おい」と私に手を伸ばしてくるけど、撮った方が早かったらしく。ブレることなく倭の横顔がスマホの中に保存された。
中一のくせに、ってか春休みだからまだ中学1年生にもなっていない。
倭の髪は金色で、やけに画面の中は金色だった。
「消せよ」
「やだ」
「つか見せろ」
「やだもん待ち受けにする」
ケラケラと笑う私に、「ふざけんな」と怒る倭。
「ねぇ、倭、もっと笑ってよ」
「消せ」
「やだ」
「
私の名前を呼んだ倭に、「倭のスマホで私の写真、撮ってもいよ?」とぶりっ子ポーズをとれば、「…アホか」と私のスマホを奪おうとしてくるから。
それを阻止する私は、スマホを後ろに隠した。
倭が床に手をついて近づいてくる。そんな倭の眉は短かった。
「…ねぇ、倭、やっぱりそれダサいよ?なんで金髪なの?」
「うざ」
「黒い方が似合ってるもん」
「うるさい」
私の頬を片手で掴んでくる倭は、私の口をぶちゅ、と突き出すように指先に力をいれ。タコみたいな表情になった私は、「だっへ、めーふけられふって、ひっへはよ?」とそれを口にする。
「あ?何だって?」
少し、指先を弛めた倭
「め、つけられる」
「誰に?」
「ちゅーがく、って、め、つけられるんだよ?」
と、私がいった時だった。
私の目の前にはスマホがあって。
パシャ、と、それが鳴った時には私のタコの表情が倭のスマホに保存されていた。
気づいた時にはもう遅く。
私の変顔を撮った倭は、ケラケラと笑いながら私の顔を解放した。
「ちょ、っ、今変な顔してた!消してよっ」
「むーり」
「やまとっ」
「ぶせ〜顔」
はいこれ、待受〜と、笑っている倭。
そんな倭に「消して」とのしかかる私。
私と倭ととの関係は、いわゆる幼なじみってやつで。親同士も仲がよく。
小さい頃がお泊まりも当たり前だった。
ほんとうに、キョウダイみたいな存在だった。
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