第7話
ま、無い物ねだりのバカ野郎かも知れないけどな?
姫に出会って好きになれた事を後悔なんてする日はきっと来ねぇ。
それだけは自信を持って言える。
姫の側に無条件で居られる煌哉に対して嫉妬心で狂いそうになりそうになるけどな?
あ~どうして、あいつより早く出会えなかったんだろうなぁ。
髪をくしゃりとかき混ぜた。
絶対に俺のが幸せに出来ると思うんだけどなぁ。
そんなことを思うくせに、姫とあいつが不安定な時に弱味に漬け込むことも出来なかったんだけどよ?
姫を泣かせたくねぇって。
助けてやりてぇって。
そっちのが優先されちまった。
あの時、弱った姫に漬け込んでたら、今ごろ俺の隣に居ただろうか?
誰もいるはずのない隣をちらりと見た。
「・・・ふっ・・・ねぇな?」
自嘲的な笑みが口元に浮かんだ。
あいつの内面は強い女だからな?
たぶん、俺にすがったりはしねぇだろうと思う。
まぁ、そんな所にも惚れちまってんだけどよ。
「えっ?なになに?どうかした?」
背後を歩いてた広夢が俺の独り言に食いつく。
不思議そうな顔で首を傾げてんじゃねぇよ。
「なんでもねぇ。おら行くぞ。」
スタスタと足取りを早めた。
独り言を聞かれるとかハズいだろ?
「えぇ~、んだよ?気になるし。」
諦めろって。
漏れる溜め息。
「広夢、しつこいとお仕置きしますよ?」
低い声で広夢を威嚇した拓夢。
「あ・・・いや、もう聞かねぇ。」
焦ったように顔の前で手を振る広夢。
「そうですか?ならいいです。」
落ち着いて黒い笑みを浮かべる拓夢を見て思う、ほんとにこいつら兄弟か?と。
顔は似てても性格は真逆だからなぁ、こいつら。
ふっと笑って、騒がしい教室のドアを開けた。
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