第68話

シトシト……ジメジメ……


シトシト……ジメジメ……


シトシト……ジメジメ……




「……ぬぅ」




これななかなか。


これはなかなかアレだぞ。




「おい」



「ん?」




並んで歩くリンに呼ばれる。



なんだ、なんだ?




「……何か感じるか?」



「ん?」




何か……とは何だ?



聞かれ、皆の顔を見ればアレだ。



なかなかに厳しい表情をしている。



え!?


皆、何か感じとってんの!?


マジか!?



……。




「ジメジメしてるよね」



「……まぁな」



「全身にカビが生えそうだよね」



「お前に聞いた俺がバカだった」



「なんと!?」




けっ結構真面目に答えたのにっ。



滝のように降るわけでもなく、ただただ淡々と降り続ける雨。


土はぬかるみ歩きにくく、靴も大分前から泥々だ。



ハッキリ言ってブルーである。


本当にカビが生えてきそうだと思ったんだ。



村の人達はこんな事態を二ヶ月も我慢してるのか……。


辛いな。


逃げ出したくなる気持ちもわかる。


数時間のあたしでさえ、こうなのだ。



道案内をしてくれてる村人1・2を見る。



アレから道案内をしてくれている。


逃げ出すのは、もういつでも出来る、と。




……ッ……ッ




「ーーん?」




何?何か聞こ




「変な気配はするんだけどな」



「変な気配??」




マジかっ!?


って!!




「あああっ!ウゼェ!!」



「なんだ!?」




前を歩いていたガラが振り返る。




「うるさいですよ、マツリさん」




後ろからのゾイドのツッコミ。




「わかる」




それな、とリリ嬢。



ジワリと濡れて湿り、体に貼り付いてくる服も、髪が顔に貼り付いてくるのも。


靴の中まで濡れてきたのも全部っ。




「イフィート!!」



『……ん?おにょ……にゅ……?』



「この雨を焼き尽くせっ!!」




今こそ、食って寝て溜めていた力を解き放てーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

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