第二章

行ったり来たり

第35話

……リッ!?


……マツリッ!!




頬が……頬が痛い……。




「マツリッ!!」




バッチーーンッ!!




「あいたーーーーーっ!!??」




素晴らしい衝撃と痛みにあたしは目を覚ました。



目の前には、いやってほど見慣れた幼なじみの顔とその先にはこれまた見慣れた天井が見えた。



あれ……顔に見えね!?




「うほっ!?」



「目覚めたか、ゴリラよ」



「いや、ゴリラじゃないし。ゴリラはガラだし」




どういうことだ、目覚めたばかりの幼なじみをゴリラ呼びとは。



失礼甚だしいな(人のことは言えない)




「いやー、なんなのあんた?いきなり消えたり現れたり、あたしはビックリし通しだよ」



「んー……?」




本当か?イオリ?



めっちゃベッドで寛いでゲームをやってんじゃないか。




「あたし……」



「覚えてないのか?雷が落ちたと思ったら、あんたが消えて……」



「消えた?」



「そ。まんま消えたの。んでPS4が光だして」



「え!?」



「アホッポイ曲……正にマツリって感じの曲が流れ出して」



「うぉぉぉいっ!?」




アホッポイとはどういうことだ!?


アホッポイとはっ!!




「タイトルが変わってた」



「ハァ!?」




タイトルが変わる!?


そんなわけ……




「その名は!!」




急にバッとベッドの上に立つイオリ。




「ベッドの上に立つな。あたしのベッド……」



「ファイナル・クエスト10.5!!」



「………….5ーーー!?」




何ー、.5ってーーっ!?



あたしが買ったのは確かにファイル・クエスト10だった!!




てか……。




「あれーっ!?あたし帰って来てるーーっ!?」



「今さらかっ!!」




スパーンッとイオリに頭を叩かれた。



うん、確かに帰って来たわ。




ーーーーーーーーえぇぇ……。

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