第82話

「こうなったら、雪はしばらく様子を見るためにも私の家にいなさいよ。雪の家の前で待ち伏せとかされてたら厄介だし。あと、大学では私たちがあいつを見つけてこれ以上やったら警察に言うってはっきり言っておくわ」


「……いや。あいつとの話し合いなら私も行く」


「は!? あぶねーぞ」


「最初にこいつと喋った時、曲解をしがちな人っていうイメージを受けたの。私のことも勝手に恋人扱いしてきたし。玲美や空斗だけが行くことで“ゆきさんは反対してないんだ”なんていう変な解釈されても困る」



それに、私ももう一発言ってやらないと気が済まない。


琉偉が心配そうに見てくるので付け足した。



「もちろん人目に付く大学内で話すし、何かあれば琉偉や藤井さんにも連絡する。私が撒いた種だし、そのせいでみんなに迷惑かけたんだから、私が片をつけたい」



――二度と玲美や空斗を危険な目に遭わせたくない。


その思いと共に伝えれば、みんなは渋々納得してくれた。





 :



その日の夜、私は玲美の部屋に泊まることになった。



「雪、まだ寝ないの?」



ベッドの中でスマホをいじっている玲美の横で、私はパソコンを操作している。


メモアプリを駆使して今後の活動やオタクたちへの伝え方について思考を纏めた私は、ふぅと息を吐いてアプリを閉じた。




そして、覚悟を決める。

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