第6話

追いかけてくる二つの足音を聞きながら、空港のロビーを抜けた。

自動ドアをくぐってターミナルの外に出れば、折村さんの言うように正面に黒い高級車が停まっていて。

ドアを開けて待つ運転手は見覚えのある人だった。

白髪頭の初老の男性は黒いスーツをスマートに着こなしている

優しい微笑みは3年前と、何にも変わってない。


「お嬢様、亜理子様、おかえりなさいませ」

私達を見つけた運転手が笑顔で頭を下げた。


「伊達さん、ただいま」

母は目を大きく開いて可愛らしく微笑みながら駆けよった。

どう見ても、二十歳の娘がいるようには見えないよねぇ。

後ろ姿を見てつくづくそう思う。

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