第32話

風邪で寝込んでいると思っていた俺は、久しぶりに見たイズミの顔に息を呑んだ。




左目の瞼の辺りに、殴られたようなあとがあったから。




治りかけらしいアザは紫色が黄色に変わり始めてたが、痛々しい。




驚くイズミの顎を捕まえてじっくりとアザを見る。

間違いなくそのアザは人に殴られて出来たものだ。




怒りが込み上げる。




何かを殴りつけたい気持ちになりながらも、イズミの前では我慢する。




だが、




家に上がり込んでイズミに事情を話させる声は、自分でも驚くほど低かった。

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