決められたレール
第1話
「お前がいなくなると寂しくなるな。…引っ越し明日だったか?」
暁人(あきと)がグラスに酒を注ぎながら尋ねる。
「ああ」
「にしても、東京から離れた大学を選ぶことなかったろうに…」
今だにブツブツ文句を言っている暁人に呆れた視線を向けた。
「…なんだ、気持ち悪ぃな。てめぇは俺の女か」
「お前は東京を離れたかったのかよ?」
俺の言葉を無視して、真面目な顔で聞いてくる。
その目は、俺の真意をはかろうとしている。
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