穏やかな人

第12話

私にその話が転がり込んで来たのは、それから一週間程経った頃だった。



「結衣もそろそろ28なんだから、取り敢えず一度会ってみなさいよ」



そう言って母親が渡したのは、一枚の写真と、有名なホテルの名前と日にちと時間が書かれた紙。



いつまでも恋人を紹介したりしない私に、母親が持ってきた見合い話。



独りになった後その写真を開いて見れば、穏やかな優しそうな顔をした男の人が写っていた。



「はぁー」



写真を手に、重く溜め息をはく。

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