第8話
「おい」
後ろから低く話し掛けられ、ゆっくりと振り返った。
だけど男がまだ上半身裸なのを見て、すぐに視線を下に落とした。
ドキドキと鼓動が跳ねる。
何を言われるんだろうって心配と緊張から。
「……なに?」
今にも消えてなくなりそうな小さな声で問い掛けると、すぐに舌打ちが聞こえてきた。
「アンタさぁ、なにずっと俯いてんの?俺を見るのがそんな嫌なわけ?」
苛々とした声。
また怒らせてしまった。
唇を小さく噛み締めながらゆっくりと顔を上げる。
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