機嫌悪くもその場から去って行く水沢の背を見送りながら、拓真は谷口に尋ねた。

「亜希ちゃん機嫌悪いですね…」

「まあな、証拠がほとんど見つからなかったんだよ。…まいったよほんと、これだから能力者の犯罪はイヤだな。ただの人間が相手にするには、荷が重い」

こめかみを揉みながら谷口が言う。

「そういえば、拓真と力也は、犯行現場を見に行ったんだって？」

拓真の顔を少し見上げながら聞く。

「はい、ひどいもんでしたよ」

思い出して暗い表情をした拓真に、谷口が同情の視線を向ける。

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