第7話

広間の襖の前に立つ。




部屋の中からは、数人の小さな話し声が聞こえる。





俺は目をつむった。




咲斗が連れて来た女が、何も情報を持っていなかったら、振り出しに戻る。





こうしてる間にも、紫音が危険な目にあってるかも知れねぇ。






その時、俺は・・・・・平常心を保てるだろうか?









「虎・・・・・行こう。」


俺の肩に手を置いて啓太がそう言った。



「ああ。」



俺は一呼吸置いて、目を見開いてから襖を開けた。








部屋の中には、数人のCROWのメンバーが、目隠しされた女を囲む様に立っていた。





座り込んだ女は、明らかに怯えている様子だった。





目隠しで、知らない所に連れて来られたら、怯えるのも無理はねぇな。






俺達より、年上に見えるその女は、香水臭かった。








「啓太さん。」


俺達に気付いた咲斗が駆け寄ってくる。




「ご苦労様。どういう状況か詳しく説明してくれる?」


啓太が女に視線を送りながら、咲斗に聞いた。



「はい。」


咲斗が頷くのを見て、俺は襖近くに腰を下ろした。



啓太も、俺の横に座ると、自分の前に座るように咲斗に促す。





「座って。要点だけまとめて話してくれるかな?」



「はい。」



咲斗はご丁寧に正座をして、説明を始めた。

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