第42話

『…』


教室に響くチャイムの音


ホームルームが終わり


担任が教室を出ていく


振り向いて


弘人に声をかけようとして


なにを言えばいいかわからず…


『っ…』


「ねぇ弘人ーっ」


弘人の周りにクラスの女子が集まる光景を


見ないようにして前を見た


「今日一緒に帰りたいっ」


「私もー!」


「今日はだめー。」


「えーなんで?」


「前校門にいた子と約束してんの?あの子ほんとに弘人の彼女なの?」


「ナイショ。」


大好きだった


弘人のこと


忘れられないほど


あなたを想った


あの日から一度も


連絡も


会いに来てくれることもなかったのに


《本当は俺のこと、好きじゃなかった?》


どうして今更…


ガタッ


席を立ち上がり


「えーどこいくのっ?」


「だりぃからサボるわ」


そう言って教室を出ていく弘人の背中を


女子たちは残念そうに眺めてた

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