第82話

「祐樹なんて、大っ嫌い!」



拒絶するように祐樹から顔を逸らす。



「イズミ」



そんなあたしを切ない声で呼びながらも、祐樹は優しく抱きしめてきた。



大きな胸と、大好きな匂いに包まれる。



「嫌な思いをさせて悪かった…。もう、ほかの女になんて笑いかけねぇよ。だから、嫌いなんて言わないでくれ」



宥めるように、祐樹の手が優しく背中を撫でた。



「俺が好きなのは、お前しかいねぇよ。わかってるだろ…」



低い声が耳元で囁く。



わかってる。

祐樹があたしを…あたしだけを大事にしてくれていることは。

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