第35話

「…翔」




重苦しい静寂を破ったのは、いつも以上に声を低くした若頭だった。




「はい」




顔を上げて返事をする。恐ろしいくらい冷たく無表情な顔と目が合った。




「お前はイズミのガードにつけ。一瞬でも目を離すな」



「分かりました」



「アイツに近づく男は殺してもかまわない」



「若頭っ!」




邪魔者は消せと言う若頭に、一路さんは諫めるように声を張り上げた。




本気の若頭の目に、俺の背筋に冷たいものが流れた。

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