第15話
ミラーを覗くと、見たことない表情をした若頭と目があった。
その顔は、幸せなのか不幸なのか、嬉しいのか悲しいのか。
正反対の感情が混ざったような顔だった。
「本気で女をですか?……たぶんないと思います」
普段と違う若頭に、気づくと真剣に答えている俺がいた。
そんな俺に、若頭は遠くを見つめるような表情をして、口を開いた。
「俺には本気で好きな女がいた。……失っちまったけど…。今でも欲しいと思うのはアイツだけだ」
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