第14話

「モテモテっスね」




見回りに行った歌舞伎町のクラブから出て、車に乗り込んだ若頭に向かって楽しそうに話しかけた。




「歌舞伎町で働く女のほとんどが、若頭に熱をあげてると思いますよ」




女に好かれて喜ばない男はいないと思っていた俺は、軽い口調で言った。




「よりどりみどりで羨ましいっス」




そんな俺の言葉に窓の外の景色を見ていた若頭が口を開いた。




「…羨ましいか…。なあ、お前は本気で女を好きになったことあるか?」

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