第7話

困ったような顔をする男を見て、目を見開く。




なんで殴らねぇ?




「相手を見て喧嘩売れよ。俺じゃなかったら殺されても文句は言えないぜ?」




「…なんで?」




なんにもしねぇんだ…と続けた言葉は男に聞こえたか分からない。




けど、俺の問いかけにこちらを見た男がフッと表情を緩めた。




「この喧嘩は俺の勝ちだ。これ以上お前を殴る意味なんてねぇよ」




その言葉を聞いて、負けたと思った。

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