第88話

「祐樹…」




宥めるようにその広い胸に顔を埋めると、背中に回っていた祐樹の腕が強くあたしを抱きしめた。




「……お前の事になると俺は冷静にはいられねぇ。お前に危害を加えようとするやつがいたら殺すかもしれねぇ。……こんな俺を怖いと思うか?」




絞り出すような苦しそうな声で言われて背筋がゾクゾクした。




恐怖ではなく喜びで。




「どんな祐樹も怖くないよ。それにあたしも祐樹と一緒。祐樹の為なら何でも出来るし」




フフっと笑いながら言うと、祐樹もホッとしたように笑い返してきた。

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