第86話

ムッとしているあたしを祐樹が優しく抱きしめてきた。




「いじけんなよ…。俺だってお前を噂の的になんてしたくなかったんだから」




「…それってあたしが童顔で美人じゃないから?」




綺麗でも大人っぽくもない自分の顔が悲しくなる。

祐樹に釣り合ってないことはだれよりもわかってた。




「ちげぇよ」




強い口調とともに、俯き気味だった顔を無理やり上げさせられて、真剣な顔と視線が合わさる。




「お前の事は、できるだけ知られたくなかった。出来るものなら、俺はお前をどこかに閉じ込めて誰にも会わせたくねぇんだ」

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