第77話

「ああ…あそこか。それなら俺も会ったことあるかもな」




あたしの体をうまく支えながら祐樹が言った。




「祐樹、よく行くんでしょ?会ったことあるって言ってた」




そこまで言って昼間のトモの話を思い出し、少し気分が悪くなって祐樹から離れようとする。




「うちの組が仕切ってるからな。それでお前はどんな噂を聞いたんだ?」




そんなあたしの動きには気づかず、腕の中に閉じこめようとしてくる。




「…据え膳を喰いまくってるって」




腕の中からの脱出は諦めて、祐樹の顔を睨みつけるように見上げた。

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