第4話

「若頭はまだ事務所っス。姐さんをマンションまで送るように言われたんで」




「そっか。でも、迎えなんていらないのに…」




「心配なんスよ。この辺りは夜になると治安が悪いから」




たしかに、昼間はのどかなこの辺りも夜になると表情を変える。




その時、車内から通りかかった路地を見て、声を出して笑ってしまった。




「どうしたっスか?」




不思議そうに翔が話しかけてくる。




「今通った道…。そういえば翔を初めて見た時も喧嘩してたよね?」




喧嘩に巻き込まれた事を少し懐かしく思いながら笑う。

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