第Ⅰ章 第10話
私はキッチンに立ち、何時も通り、朝食の準備をした。
すると「おはよう、蒼蝶さん」
そう言い、キッチンに姿を見せたのは、実の母親・蒼華さんだ。
この時間に母親が起きるのは珍しい。
私が蒼華さんと顔を合わせたくない様に、蒼華さんも私と顔を合わせたくない。
だから、何時も私が起きて、本宅で準備をしている際は絶対にリビングに姿を見せる事はまずもって無いのだ。
実の母親の蒼華さんは恐ろしい程、私の双子の兄・左京蒼葉を溺愛している。
「お・・・おはようご・・・ざいます、奥様・・・。今日は随分と珍しいですね・・・
その・・・奥様は私と顔を合わせたくないから中々、お部屋から出てこなかった筈ですが・・・」
私は、そう言った。
「そうね、蒼蝶さん。貴女と顔を合わせたくないのは事実ですからね。
それはおいておいて、貴女にお願いがあってね」
蒼華さんはそう言った。
「お願いですか・・・?」
私はそう聞いた。
「ええ・・・。朝の支度を済ませたら、買い物を頼んで良いかしら・・・?」
蒼華さんはそう聞いた。「構いません」
私はそう答えた。
「では、これが貴女に頼みたい買い物です。頼みましたよ」
蒼華さんはそう言い、リビングルームに向かった。
私は淡々と朝食の準備を済ませ終え、ダイニングテーブルに運んだ。
この本宅に来て直ぐに回した洗濯機から洗濯物を出し、本宅のテラスに洗濯物を干した。
私は、本宅のリビングに戻った。
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