第90話

5分程経って、祐樹さんがあたしの元に帰って来た。




その表情は少し不安げ。



不思議そうに顔を見上げると、



「…怖くないか?」



怖い…?



「…何が?」



「…俺が」



「…なんで?」



なんで祐樹さんが怖いの?



首を傾げて聞くあたしに、顔を歪めながら言いづらそうに口を開く。



「喧嘩したから…」



切なそうな顔をする祐樹さんの体に抱きつく。



背中に腕を回しギュッと抱きしめながら、祐樹さんの顔を見上げて、笑った。

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