第76話

「…何があったんだ?」



「……」



「……言えよ」



「…彼氏に…」



「……」



「別れようって言ったら殴られた……」



ポツリポツリと言うあたしの言葉を、祐樹さんは黙って聞いていたけど、殴られたと言った瞬間あたしの頬に添えられていた手が、ピクリと動いた。




「…なんだと?」



怒っている声に、怯えた顔で上を見ると、顔を歪めている祐樹さんと目があった。



しばらくお互いに何も喋らずにいると、怒りを抑えた祐樹さんが、今度は真剣な顔で聞いてきた。

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