第74話

「…とりあえず、中に入るぞ」



どうしてここに…?

何しに来たの?



口から出そうになる疑問を飲み込んで、一歩後ろに下がった。



顎を掴んでいた手が外れるのと同時に、祐樹さんが家の中に入って来た。




向きを変えて、リビングに向かって歩き出すと、後ろから祐樹さんの足音が聞こえた。




「…何か飲む?」




そう聞くあたしに




「…とりあえず、ここに座れ」




ソファーに座った自分の横を指差す。



あたしは溜め息をついて、横に座った。

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