第42話

2人の声を無視して、懐かしい声だけに集中して耳を澄ますが、その声は聞こえなかった。




……気のせいか

幻聴を聞くなんて、久しぶりだな…




口元を歪めて自分を笑う。



その時



先に進もうとした時、タクシーを止めようと手を上げている女の後ろ姿から目が離れなくなった。




綺麗な長い茶髪が風に揺れる




まさか……

こんなとこにあいつがいるわけねぇ




頭で否定しながらも、その見覚えのある後ろ姿に、心がそうだと叫んでいた。

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