Ⅰ 東の京

悪夢

第3話

その部屋は真っ暗だった。

当たり前だ。今の時間を考えれば、日はすっかり落ちている。




8時からの日勤の仕事を終えれば、12月のこの季節、家の中には日差しはもうない。

そんな事は百も承知なんだけれど。

本来なら安心できるはずの我が家に帰って一息つきたいところなのだけど。




殴られた顔が火傷したみたいに熱い。





殴られた時切れた口の中は鉄の味がした。





「なぁ、俺の事好きだろう?別れるなんて言わないよな?」





声と同時に降ってくる絶望。

そして、Tシャツの裾から入ってくる手。




汗ばんだ手。





「……や、やめてっ……嫌……っ」





それでも、手は止まらず、下半身に伸びた。





「やめてっ!やだぁっ」





精一杯の力で抵抗しても、男の力には敵わない。




」」、あぁ、もう駄目か。

諦めてーー…。




ーー諦めた方が、楽か。



それを思い知らされるたびに、心が冷たくなった。





ーーどうして…?

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