第21話 屋上の扉前2(キスで……)


「んんぅ、ふゆぅ、冬ぅ……」

 甘えるように何度も好きな男子の名前を呼ぶ私。


「……瑞稀……どこを視られても、オレも印が付いてるからね」

 との言葉に小さく頷いて

「ぅん。……誰に視られても安心?」

 クスと笑った冬が、耳元に顔を近づけ

「瑞稀は誰かに視られたいの?」

 小さく首を左右に振って

「冬だけがいい」


 思いっきり甘える声音なのが恥ずかしい。

 でも、この甘ったるいやりとりが、心地良よくもある。

 カレシとカノジョで、こんな風に女の子に甘えさせてくれるカレシって好き。

 もちろん、冬はまだカレシじゃないけど。


「オレも瑞稀だけがいいよ」

 蕩けるような声音で、囁いてきて私の頬に唇を押し付けてくる冬に、ギュウと抱き付いて。

「んんぅっ……ふゆぅ……だいすき……」

 冬から言って欲しかったけど、私から告ってしまった。


 恥ずかしい。

 何がって?


 冬にこんな事をされる事も、冬に独占されるのも、冬だけのモノなのも

冬になら、何をされてもいいよって全肯定だもん。


 冬の髪を撫でる手の動きが止まり、私の顎に手を添えて、クイと位置を変え、同じ高さにある顔を正面からドアップで見つめ合い

「オレも瑞稀の事が大好きだよ」


 うわぁぁぁっ、ああぁんっ。

 もう、ダメ。嬉し過ぎて涙が……。


 嬉し過ぎて身体も悶えて、冬の腕の中でくねらせちゃう。

 カレカノになったんだから、頬じゃなくて、唇にって瞳を閉じて私からキス受けの体勢。


 雰囲気も何もないって、他の人からすれば、そう思えるかもだけど、

 沢山、冬にイかされた私は、雰囲気なんてどうでもよくて。

 とにかく、冬を求めてるって自覚あるもん。


 冬の唇と私の唇とが重なり合う感触が伝わってくる。

 唇を重ね合わせているだけなのに、なんでこんなに心が満たされるんだろうって思う。

「……んっ……」

 喉から声にならない音を鳴らすと、冬の唇が少し開いて、つられて私の唇も開く。

 と、私の唇をゆっくりと周回させるそれは、私の恥ずかしい場所を舐めていた舌だって分かる。


「はぁ……んっ……あっ……」

 半開きの唇から熱い息を冬に吹きかけるようにしながら、甘い声がでてしまう。


 舌先からザラリとした感触に変わり、ゆっくりと唇を周回させてくる時も、身体をよじらせ、冬にしがみつく手の力が勝手に入り、冬のズボンを私の愛液で色濃くさせるのも分かる。


 きっと私の愛液は冬のズボンの中まで沁み込んで、肌に粘り気のある感触を与えているんだろうなぁと思うけど、仕方ないよね。

 気持ち良いんだもん。


 たぶん、私はもう冬とのキスに酔ってる。

 冬が私の唇の両端を交互に、そして重点的に舌先と舌全体、舐めてくると肉芽に触れられたような感覚が襲ってくる。


 キスイきって言葉では知ってるけど、キスが上手い人とすると……。

 うん、分かる。

 ――イきそう。


 身体がピクンピクンと跳ね、冬の息も熱く感じて、熱い舌が私の口内に入ってくる。

「んっ……」

 私も舌を動かそうとするけど、無理。


 冬の舌で私の口の中を犯されるがままって感じ。

 トロトロと愛液が溢れだして、それが冬のズボンを染み込ませている事が、今の私の反応って言うか、抵抗って言うか……。


 丁寧に歯茎を舐めて来ては、私の舌を舌で持ち上げ、舌裏から奥へと進み、

舌裏の付け根を突かれると、乳首を指で弄られている感覚に陥る。

 ふあぁ……。

 気持ち良い……。


 私の唇や、口の中の弱点を調べるように、舌が動き、その動きに酔いしれ、

お互いの唾液が混ざっていくのも、繋がっているようで、嬉しくなる。


「はっ……あっ……んぅっ……あっ……」

 冬の舌が動く度に、喉を鳴らすように、猫がゴロゴロと喉を鳴らすように、

気持ち良いと、甘い声が混ざった吐息で伝る。


 私の顎はすっかりと上がり、上から唇を押し付けられて、強引にされている感じが、また私の気持ちを昂らせる。

 冬が私を求めている感じがするから。


 強引にされて、男らしさを感じて、そしてウットリとして。

 顎の上を舌で舐められ刺激を送り込まれると、クリを弄られてる感覚がやってきて

背中を大きく反らせて、大きく身体が跳ねた。


 キスでイかされちゃった。

 はぁっ……すっごく気持ち良かった。


 もっと、冬と濃厚なキスの時間を楽しんでいたかったけど、火照りに火照った状態の私には我慢なんて出来るはずも無くて。

 今度、キスの時はちゃんと私も舌でお出迎えして、お互いの舌でじゃれ合うように

キスしたいと思うし、ちゃんとするからって心の中で言い訳。


 でも、ちゃんとできるのかなぁ……。

 だって、私って冬に何かされると、すぐに敏感になって、蕩けちゃうんだもん。

 まだ昼食も摂ってないし、これから試合があるんだよ?


 そして、試合が終わったら、やっぱり一緒に放課後デートしたいし。

 一緒に帰りたいし。

 私の体力、大丈夫かな……。

 心配だけど、期待感の方が勝るのも仕方ないよねっ!

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