「ノーパンノーブラの女子って可愛いよ」好きな男子がそんな事を言うから―っ!

ふー

第1話 RROLOGUE

 私こと桃瀬瑞稀は、私立の高校に通うチア部所属の2年生。

 周りからは可愛くてモテるって評判。

 ――実際には分からないけど。

 ただ、チアユニ姿での応援中に、特に男子からの視線が、胸やスカートの中に集まるのは分かっているし、実は満更ではなかったり。


 やっぱりチア部って女子から可愛いとかカッコいいとか思われるのは当然、嬉しいけど、男子に視られるのが評価っていうか醍醐味な部分もあると思ってるからね。

 で、そのエッチな視線を感じて、応援中に誰にも言えないエッチな事を妄想してしまっている時だって多々あるのは内緒。


 チア部の活動の時は、髪を高めの位置で束ねポニーテールにして、名前に因んでピンク色と水色のチェック柄のシュシュを付けているけど、普段は茶髪の肩下まである長さの髪をおろして過ごしている。


 身長は平均だと思うけど、スタイルは良いと周囲から言われるし、胸はそれなりに大きいよ。

 目が大きくて、ぷっくりとした唇も評判は良いらしく、『魅力的』だとか言われたりする。

 それはそれで嬉しいけど、そういう言葉は、やっぱり好きな男子から言われたいよね。


 そんな事を思っていた時に、私の一推しのバスケ部に所属する、高身長で前髪は少し長く、私好みのルックスを持ち、声までストライクな秋山冬と席が隣になった時は、飛び跳ねたいくらいに嬉しかった。


 しかも、席は一番後ろの窓側。

 マンガのヒロインの特等席だよね。

 そして隣が好きな男子とくれば、もしかしたらって期待感も膨らんでしまう。

 言えない妄想も膨らみます。


 席替えしたばかりの頃は、それこそ隣をチラチラと見ては、その好みの容姿にウットリとし、教科書を読む声音は、耳を犯されている感覚になったりもした。


 だけど、それは私の一方通行。

 相変わらず素っ気なく、まるで私の事なんて眼中にないような秋山に、私はガックリと肩を落とす日々が続いた。


 やっぱり何かを期待しすぎたかなと思うけど、お互いに少しお喋りするだけで、特に何も行動を起こしていないのだから、何もなくて当然だと思う。


 だから、意を決して徐々に制服のスカートの丈を短くしていって、今日は薄い生地の白ブラウスの中にはキャミを着ないで、水色のブラを透けさせ、少しでも女性として、見て欲しいなぁと思って、視界に入るように頑張ってみた。


 授業中とかに偶然を装って、秋山だけに見えるように軽く足を開いてスカートの中をさりげなく見せたりして、私なりに頑張っていた。

 頑張りすぎると、あの瞳で私の下着をチラとは言え視られただけで、かなりヤバイ。

 あの瞳で犯されているような錯覚に陥るくらいにヤバイから困る。


 自分で見せておきながら、恥ずかしくて、嬉しくて、(こんな風に視ていいのは秋山だからだよ)と、意識すればする程にシットリと湿っていく視られた場所の奥側。

 もう、恥ずかしさが増してドキドキが止まらなくなる。


 とある日の授業の時に、教科書を忘れた事に気付き、隣に座って欠伸をしている秋山の顔をチラ見すると、顔が火照るのを自覚しながら話しかけた。


「教科書……忘れたんだけど……」

 上目遣いで遠慮がちに言うと、素っ気ない秋山が無言のまま平然と机を寄せてくるから、慌てて私からも机を寄せてくっつけた。


 今日は、スカートをギリ丈にしたんだけど、教科書を忘れたのはワザとじゃないから、今日の下着はどんなだっけと、急に焦りだす。

 とか言ってるけど、秋山と隣の席になって以来、いつも下着は可愛いのを履いているから大丈夫なはず。


 そう思っていても、秋山好みのパンツを履いているのかは別の話で、気になるのは、そっちの方だったり。

 もう、私の脳内は秋山に見られる事が前提になってるけど、どうせ見られるなら、秋山好みで可愛いって思って欲しいし……。


 忘れていたわけではないけど、今日の授業は午前で終わり。

 その後はバスケ部の練習試合があって、チア部も実戦練習の一環として参加。

(精一杯、秋山を応援するよ!)と、朝からあれだけ気合を入れてきたけど、机をくっつけてお互いの机の中央に教科書を置かれては、普段以上に近い距離に心臓はトクトクと高鳴って朝からの気合はどこかへ行ってしまった。


 時折、短か過ぎるスカートの丈が気になるのか、秋山の視線が太腿にチラチラと感じると、あれだけ見せる気だったはずなのにピタと太腿を閉じて座り、妙に恥ずかしくて太腿がモゾモゾと無意識に動いてしまう。

 何だか顔も熱っぽいし、手でパタパタと顔を扇ぐけど、私の体温は上昇し続けているように感じる。


 チャイムが教室内に鳴り響いて教師が扉から姿を見せると、お喋りしていて騒がしかった教室が徐々に静かになり、私の心臓の音を意識してしまう。


 日直の「起立」の号令が聞こえると、椅子を後ろに引いて席を立ち、続く「礼」の号令に迂闊にもスカートの後ろを手で抑える事も無く、普通に深くお辞儀をしてしまった。


 後ろから見れば、私のスカートの中は丸見えのはず。

 もしかしたら、横からでも今日の下着の色である水色は見えたかも知れない。

 気になって隣を見るけど、秋山の様子からは、見えたのか見えていないのか分からなかった――。

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